十六日祭(旧暦一月一六日)の頃、座頭鯨がやってくる。
2011年、特別な春であった。親子とおそらくオス(でっかい)と思われる一頭、合わせて三頭が二ヶ月ほど島の近海で過ごし、時にダイビングポイントの浅瀬にも現れてくれた。20mほどの砂地で親子を素潜りで遭遇したときはその大きさと親子の絆に圧倒されたのを覚えている。
潜水中、遠くから響き渡る少しもの悲しい歌の音色は、ホイッスルのような高音域から低いうなり声の低音域まであり、全身を震わせる。遠く海を渡ってきたものたちの魂の叫び、親子は会話し、オスは求愛の歌を歌う、海中でその存在を感じることは大きな喜びだ。海を旅するものへの畏怖、そして激しく憧れるのである。
響き渡るザトウクジラの鳴き声は春を呼んでくれる風物詩。さてこの春は、、、、、。
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